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妊産婦に関する調査


第15回検討委員会「こころの健康度・生活習慣に関する調査」結果報告要旨

第15回検討委員会(平成26年5月19日開催)で報告いたしました内容の要旨と、報告に対する各検討委員からのコメントを掲載いたします。

今回の検討委員会で報告された項目は以下のとおりです。

平成24年度『こころの健康度・生活習慣に関する調査』結果概要

対象について

平成24年度の調査対象は、平成23年3月11日時点で国が指定する避難区域等にお住まいの方、及び平成24年4月1日までに生まれた方で避難区域等に住民登録があった方、211,615人です。

【避難区域等】
田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村の全域及び伊達市の一部(特定避難勧奨地点の属する区域)

調査方法

調査票(自記式または保護者回答)を郵送しております。

集計対象期間

平成25年2月7日から平成25年10月31日までとしております。

回答者数

回答者数(回答率)は、以下のとおりです。

0歳~3歳用 2,143人(46.3%)
4歳~6歳用 2,231人(44.2%)
小学生用 4,703人(41.2%)
中学生用 2,126人(35.3%)
一般用 55,076人(29.9%)

結果について

子ども全体のまとめ

子どものこころの健康度を評価する指標としてSDQを用いています。平成23年度調査に引き続き、日本の被災していない一般人口を対象とした先行研究1)におけるSDQ16点以上の割合(9.5%)と比較して、今回の対象ではすべての群で高い傾向でした。しかしながら、平成23年度調査に比べてすべての年齢層でSDQ高得点の割合は減少しており、健康度は回復傾向にあることが示唆されました。

また、睡眠時間も平成23年度調査に比べて各年齢層で延長しており、先行研究の睡眠時間に近づいていることが判明しました。運動習慣についても運動をほとんどしていない群の割合は減少傾向にあるものの、調査内容が異なり直接比較は困難であるが、全国調査と比較すると運動習慣はなお少ないことが示唆されました。

一般(平成9年4月1日以前に生まれた方)

こころの健康度
  • 全般的な精神健康状態を評価する指標として「K6」を、トラウマ反応を見る指標として「PCL」を用いています。
  • K6 13点以上をカットオフ値とすると、平常時日本の他地域住民の場合3.0%が該当しました。2)
  • PCL 44点以上をカットオフ値とすると、米国におけるニューヨークテロ後の作業員の場合20.1%が該当しました。
  • PCL 50点以上をカットオフ値とすると米国におけるニューヨークテロ後の作業員の場合11.1%が該当しました。3)
  • それらの先行研究を参考に、福島県立医科大学の医師等が支援を行う基準をK6は17点以上PCLは61点以上に設定しました。
  • K6は、13点以上が11.7%であり、平成23年度調査と比較して低下しているものの、平常時のカットオフ値以上の割合と比較して依然高い値を示しました。
    男性では13点以上が9.8%であったのに対し、女性は13.2%と高い値を示しました。
    年齢別では70代以上では13点以上が13.8%と高く、10代では7.6%と低くなりました。
    これらの傾向は平成23年度調査と同様でした。
  • PCLは、44点以上が17.4%であり、平成23年度調査と比較して低下しているものの、依然高い値を示しました。
    男女別、年齢別の傾向は、K6と同様でした。
生活習慣
  • 自身の健康(主観的健康感)を「悪い」「きわめて悪い」と評価したのは17.9%であり、平成23年度調査よりもその割合は減少しました。
  • 震災後に体重が「3kg以上増えた」者は23.9%、「3kg以上減った」者は14.8%であり、体重増加した方の割合は高い値を示しました。
  • 睡眠については、62.4%の者が不満を持っていたが、平成23年度調査よりその割合は減少しました。
  • 運動は「ほとんどしていない」者が47.3%であり、平成23年度調査(50.9%)よりも運動習慣を持つ者の割合は増加しました。
  • 現在喫煙者は20.4%と平成23年度調査(20.7%)とほぼ同様でした。
  • 現在飲酒者は43.6%と平成23年度調査(44.1%)とほぼ同様で、多量飲酒者(1日2合以上飲酒)の割合も平成23年度調査(9.6%)とほぼ同様の9.9%でした。

1): Matsuishi T, et al. (2008) Scale properties of the Japanese version of the Strengths and Difficulties Questionnaire (SDQ): a study of infant and school children in community samples. Brain Dev. 30: 410-415.

2): 川上憲人.全国調査におけるK6調査票による心の健康状態の分布と関連要因.平成18年度厚生労働科学研究費補助金(統計情報高度利用総合研究事業)国民の健康状況に関する統計情報を世帯面から把握・分析するシステムの検討に関する研究.分担研究書

3): Stellman JM, et al. (2008) Enduring mental health morbidity and social function impairment in World Trade Center rescue, recovery, and cleanup workers: the psychological dimension of an environmental health disaster. Environ Health Perspect. 116(9): 1248–1253.

平成25年度質問紙調査の進捗状況について(平成26年3月31日現在)

回答状況

回答数と回答率
区分 調査対象者 回答数 回答率
子ども 26,513 8,648 32.6%
一般 185,859 40,544 21.8%
合計 212,372 49,192 23.2%

支援状況

電話による支援

回答内容から支援が必要と思われる方に対し、臨床心理士や保健師、看護師等が電話をかけ、こころの健康や生活習慣に関する問題について支援を行っています。

ア)尺度による支援
区分 要支援者数※1 要支援率※2 対応数※3 対応率 支援済数 支援済率
子ども 387 5.2% 236 61.0% 175 45.2%
一般 1,644 7.3% 431 26.2% 329 20.0%
合計 2,031 6.7% 667 32.8% 504 24.8%
イ)尺度以外の項目による支援(危機介入支援)
区分 要支援者数※4 対応数※3 対応率 支援済数 支援済率
子ども 4 4 100% 4 100%
一般 18 13 72.2% 10 55.6%
合計 22 17 77.3% 14 63.6%

※1 要支援者
子ども:SDQ(子どもの情緒と行動について)が20点以上に該当する方。
一般:K6(全般的な精神健康状態)が13点以上かつPCL(トラウマ反応)が50点以上に該当する方。PCLの点数に関わらずK6が17点以上の方。
要支援者数:3月31日現在、支援が必要と判断された方。

※2 要支援率
3月31日現在、支援が必要と判断された方の占める割合。

※3 対応数
回答内容を確認し、一度は電話をかけているもの(不在を含む)と、調査票を確認した結果、電話番号の記載がないことが分かっているもの。

※4 要支援者
自由記載及び欄外記載の内容から、支援が必要と判断された方のうち、緊急性が高い方。
要支援者数:3月31日現在、支援が必要と判断された方。

支援に関する今後の方針

ア)尺度以外の項目において電話支援対象となる方への支援を進める。基準は以下のとおりです。

  • 自由記載及び欄外記載の内容から、支援が必要と判断された方のうち、緊急性が低い方。
  • 高血圧や糖尿病があり、現在通院がない方の中で、BMIが27.5以上、かつ体重の増加が3㎏以上の方。(一般)
  • 高血圧や糖尿病があり、現在通院がない方の中で、飲酒量が毎日3合以上の方。(一般)
  • 精神疾患があり通院していない方(改善したために現在通院をしていない方は除く)。(一般)

イ)相談窓口として、こころの健康度・生活習慣に関する調査専用ダイヤルをご案内するとともに、現在の健康状態や電話相談の要否を確認するため、返信用ハガキ付きの状況確認文書やパンフレット等を送付する予定です。

  • 尺度による支援:SDQ、K6、PCLの先行研究における基準値(SDQ:16点、K6:13点、PCL:44点)を超え、電話による支援対象者に該当しない方への支援
  • 尺度以外の項目において下記の基準に該当し、上記要支援者に該当しない方への支援
支援基準
高血圧や糖尿病があり、医療機関を受診されていない方。
睡眠の質に満足しておらず日中に気が滅入ったり活動量が低下したりする方の中で、医療受診をしていない方。
CAGE(アルコール依存尺度)が2点以上の方。

回答率向上への取り組み

リマインダーの発送

未回答者に対し、4月17日からリマインダーを発送しています。

回答促進用のポスター

回答を呼びかけるためのポスターを作成し、対象市町村へ掲示を依頼する予定です。
また、本センターで実施しているよろず健康相談の会場にて掲示予定です。

検討委員の皆様からのコメント

PCLの値の高い方が多いとのことだが、それはPTSDの方が多いと解釈してよいのか。

→違う。PCLはあくまでも診断の補助的な手段であり、有病率を見るにはきちんと専門家による診察、面接をして診断しなくてはならない。推測しか言えないが、PTSD的な症状が出ている可能性があるかもしれない。

避難生活者の中に自殺者が多いという報道があった。K6の値を見る限り、平成23年度よりも数値は下がっており、心の健康状態は徐々に良くなっていると考えて良いのか。

→一概には言えない。良くなる人はどんどん良くなっていくが、悪くなった人は取り残された状態になることがあり、これは阪神大震災でも見られたことだ。取り残された方がいないかを注意深く見守っていきたい。

一般成人については、将来の展望ができなかったり、行き詰ったりして、むしろこれからが深刻な精神状態になる人ができるのではないかと危惧する。

→阪神淡路大震災時も震災後自殺率が低下し、3年後から少しずつ上昇、5年後に大きく上昇に転じたということがあった。福島は阪神淡路大震災以上に複雑な事情もあるので、今後注意深く推移を見守っていかなければならないと考えている。

電話支援に限らず、もっと身近なところで相談できるような場を確保する、といったことはできないか。

→家族の中で抱える問題も多様化し、解決の糸口がなかなか見つからないというのが実状。専門性の確保、人手の確保など課題はあるが、何とか取り組みたい。さらに、心のケアに留まらず、生活再建にむけた青写真が描けるようになれば、心の負担も少なくなるかと思う。健康面、生活面トータルな取り組みを模索したい。