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心理的不調と放射線のリスク認知の検討:福島健康調査の結果から Psychological distress and the perception of radiation risks: the Fukushima health management survey

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
国立精神・神経医療研究センター:鈴木友理子
【共同著者】
放射線医学県民健康管理センター:矢部博興、安村誠司、 大平哲也、 大津留晶、 前田正治、阿部正文
会津医療センター:丹羽真一
福島県総合療育センター:増子博文
掲載「Bulletin of the World Health Organization」(93:598-605. doi)
関連リンクhttp://dx.doi.org/10.2471/BLT.14.146498

東日本大震災後の福島第一原子力発電所事故後に避難地域と指定された地域の住民を対象に、心理的不調と放射線の健康影響のリスク認知との関係について、平成23年度の福島県健康調査のデータを用いて検討しました。放射線の健康影響がある、と考えていることが、心理的不調を関係しているのではないか、という仮説に基づいての検討です。

心理的不調として、平常時の調査や他の被災地でもよく用いられているK6という尺度を用いて調べ、放射線の健康影響に関するリスク認知については、急性影響として、急性の放射線障害(例えば、脱毛、皮膚のただれ、鼻血など)、晩発影響として後年に生じる健康障害(例えば、がんの発症など)、遺伝的影響として、次世代以降の人(将来生まれてくる自分の子や孫など)への健康影響、がそれぞれどれくらい起こると思うか、について、可能性は極めて低い(1)―可能性は非常に高い(4)の選択肢で調べました。

その結果、放射線の健康影響の可能性が非常に高いと考えている人は、どのタイプの健康影響についても、心理的不調である割合が高いことが明らかになりました。(急性影響:オッズ比:1.64 (99.9% 信頼区間(CI): 1.42-1.89)、晩発影響:オッズ比: 1.48 (99.9% CI: 1.32-1.67)、遺伝的影響:オッズ比: 2.17 (99.9% CI: 1.94-2.42)。

また、いずれのタイプのリスク認知にも災害体験の大きさと教育が関連していました。さらに、長期的影響(晩発・遺伝的影響)のリスク認知には、女性であること、また災害後の生活の状況(福島県外での生活、失業した)が関連していました。また、年齢層によって、懸念を抱く健康影響のタイプが異なっていて、急性影響は高齢者、晩発影響は50歳未満の人が、遺伝的影響は50歳以上の人が可能性が高いと考える傾向にありました。

横断研究であるために、因果は分からないものの、心理的不調と放射線のリスク認知に関連があることが明らかになり、「こころのケア」を提供するにあたっては、放射線の影響に関する考え方、およびそれに影響を与える要因について考慮して対応する必要があることが示唆されました。