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福島第一原発事故から5年を迎える福島における乳幼児と青年の甲状腺がん Childhood and Adolescent Thyroid Cancer in Fukushima after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident: 5 Years On

著者【筆頭著者】
福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座:鈴木眞一
掲載「Clinical Oncology」(電子版2016年1月25日)
関連リンクhttp://www.clinicaloncologyonline.net/article/S0936-6555%2816%2900002-9/fulltext

福島県県民健康調査「甲状腺検査」の実施方法、2015年6月末までの検査結果について英語で紹介・解説をするとともに、二次検査でがんまたはがん疑いと判定された方の手術結果について解説をしています。

超音波検査は、日本乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS=The Japan Association of Breast and Thyroid Sonology )と日本超音波医学会(JSUM =The Japan Society of Ultrasound Medicine)の診断ガイドラインに準拠して実施しています。本論文では、海外の方にもそのガイドラインを理解していただきやすいように、英語のフロー図を加えています。

先行検査は30万476人に実施し、全体の受診率は81.7%で、A1(結節、のう胞が認められない)、A2(5mm以下の結節または20mm以下ののう胞)、B(5mmを超える結節または20mmを超えるのう胞)、及びC(至急精査が必要な例)の割合はそれぞれ51.5%、47.8%、0.8%、0%でした。また、2,294人が二次検査の対象となり、その内113人が細胞診によって悪性または悪性疑いと診断されました。本格調査は2015年6月末までに16万9455人に実施し(受診率44.7%)、A1、A2 ,B及びCの割合はそれぞれ41.6%、57.6%、0.8%、0%でした。1,223人が二次検査の対象となり、その内25人が細胞診によって悪性または悪性疑いと診断されました。

先行検査ではがんまたはがん疑いの方の発見率に地域間の有意差は見られませんでした。論文執筆の時点において、この検査で見つかった甲状腺がんは放射線の影響による可能性は低く、むしろ高精度な超音波検査機器を使ってスクリーニングを検査を実施していることによる可能性が高いと考えられますが、放射線被ばくによる影響をみていくためには、今後も長きにわたって検査を実施していくことが必要と思われます。

※2015年6月現在
先行検査 本格検査
受診者数 300,476 169,455
悪性または悪性疑い数 113 25
男女比 38 : 75 11 : 14
検査時平均年齢(歳) 17.3 17
標準偏差、最小-最大 2.7 , 8-22 3.2 , 10-22
震災時平均年齢(歳) 14.8 13.2
標準偏差、最小-最大 2 , 6-18 3.2 , 6-18
平均腫瘍径(mm) 14.2 9.4
標準偏差、最小-最大 5.1 , 5.1-45 3.4 , 5.3-17.4
手術実施数 99 6
良性の甲状腺結節 1
甲状腺乳頭がん 95 6
甲状腺低分化がん 3