「県民健康調査」の情報をご提供するサイトです




平成29年度調査オンライン回答はこちらからgtgt
妊産婦に関する調査


福島県「県民健康調査」における被ばく線量推計に関する研究-簡易版問診票の妥当性について-

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
福島県立医科大学:林正幸
【共同著者】
放射線医学県民健康管理センター:安村誠司、大津留晶、
坂井晃、石川徹夫、神谷研二、阿部正文
放射線医学総合研究所:小橋元、赤羽恵一、米内俊祐
放射線影響研究所:坂田律、小笹晃太郎
掲載「福島医学雑誌」(65巻4号(2015年))

2011年3月11日の東日本大震災とその後の津波に端を発する東京電力福島第一原子力発電所事故は、福島県を中心とした東日本の広範囲に放射性物質が拡散する事態をもたらしました。福島県からの委託を受けて、福島県立医科大学・放射線医学県民健康管理センターでは、福島県「県民健康調査」を実施しています。その一環の基本調査として、県民の皆様に事故後4か月間の行動記録を問診票にご記入頂き、それをもとに放射線医学総合研究所等の協力を得て外部被ばく積算線量を推計してきました。

しかしながらこの基本調査では、滞在場所を時間単位で問診票に記載しなくてはならず煩雑であることから、回答率はある一定程度より向上しないまま推移してきました。この問題を解決するため2013年の秋に、調査当初から用いている基本調査問診票(以下では詳細版とします)の内容のうち行動記録の部分を簡略化し、回答を容易にした基本調査問診票-簡易版-(以下、簡易版とします)を考案しました。

この簡易版問診票の妥当性を検証するため、住民有志に対し詳細版と簡易版の問診票の両方について若干の時期をおいて記載を求め、両方法による推計線量の差異について統計学的に比較検討しました。調査協力者143名中、91名について簡易版と詳細版の比較が可能でした。

その結果、住居や勤務地の移動が多かった事例について、詳細版と簡易版の推計結果に実用上問題とはならない誤差を生じましたが、その事例を含めても両者は高い相関係数を示しました。また、差異の大きかった4例を除くと極めて高い相関関係を示しました。簡易版と詳細版による線量推計値の差は、-0.4mSv~+0.6mSvの範囲となりました。

この結果に基づき、簡易版問診票を用いた調査は、回答条件を限定した対象者に適用することとしました。事故後4か月間で住居または勤務地の移動が1回以下であるという限定条件がありますが、簡易版問診票の導入は回答する県民の負担軽減につながり、回答率の増加に寄与するものと考えられます。