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県民健康調査の調査プロトコール Study Protocol for the Fukushima Health Management Survey

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座:安村誠司
【共同著者】
放射線医学県民健康管理センター:細矢光亮、山下俊一、神谷研二、阿部正文
放射線医学総合研究所:明石真言
放射線影響研究所:児玉和紀、小笹晃太郎
掲載「J Epidemiol」(2012)

【背景】

2011年3月11日に発生した東日本大震災後に福島第一原子力発電所で発生した事故は、福島の住民に長期的、継続的な不安をもたらしています。震災後ただちに、福島県は原発事故による長期低線量放射線被ばくの調査するために福島「県民健康調査」を開始しました。福島県立医科大学は、この調査を計画し、実施する先頭に立つことになりました。この調査の主な目的は、住民の長期的な健康状態を見守ること、住民の長きにわたる幸福を促進すること、そして、長期低線量放射線被ばくによる健康影響があるかどうかを明らかにすることです。本論文は、福島「県民健康調査」の理論的根拠と実施状況について説明するものです。

【方法】

このコホート調査(*脚注参照)では、地震後に福島県に住んでいるすべての人を登録しており、基本調査と4つの詳細調査から成り立っています。基本調査は、全県民205万人の外部放射線被ばく線量を推計します。内部被ばく線量はホールボディカウンター(WBC)を用いて、福島県が評価します。詳細調査は、18歳以下のすべての福島の子どもを対象とした甲状腺超音波検査、避難区域のすべての住民を対象とした健康診査及び、こころの健康と生活習慣に関する調査、そして、3月11日時点での県内において妊娠しているすべての女性の妊娠と出産に関する情報を収集します。すべての情報はデータベースに入力され、そして、住民の支援や、放射線の健康影響の分析のために使用されます。

【結論】

基本調査では低い回答率(<30%)のために、健康影響の評価を難しくしています。現在までに甲状腺超音波検査を受けた38,114人の子供には、悪性腫瘍の症例はありませんでした。「こころの健康度・生活習慣に関する調査」や「妊産婦に関する調査」からメンタルヘルスケアの重要性が明らかになりました。この長期的な大規模な疫学調査は、低線量放射線と災害関連のストレスによる健康影響を明らかにする貴重なデータを提供することが期待されています。

脚注:「コホート調査とは、研究対象疾患にり患していないものを対象に、仮説要因に曝露された集団と曝露されていない集団を追跡し、両集団における疾病罹患状況を比較する方法である。」(「疫学マニュアル」(南山堂、2008, P23)