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第10回 ウォレン K.シンクレア 基調講演- 福島原子力発電所の事故と包括的な健康リスク管理 The Fukushima Nuclear Power Plant Accident and Comprehensive Health Risk Management

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
福島県立医科大学/長崎大学:山下俊一
掲載「Health Physics」(2014.2月号)

東京電力福島第一原子力発電所の事故からちょうど2年が経過しました。安全システムが依存していた地域基盤が破壊され、複合的な大惨事をもたらしたこの事故は、世界に深刻な衝撃を与えました。避難、屋内退避などの防護措置、および食品供給の統制を含む安全対策が日本政府によって適時に実施されました。

しかしながら、特に原子力の安全と防護の領域においては、また事故直後ならびにその後の放射線の健康へのリスク管理については、明らかに改善の必要性があります。これまでのところ、急性放射線障害は現れていません。避難者を含む一般市民への放射線被ばくに関連する身体的な健康影響は、放射線降下物およびそれに続く環境汚染による可能性に限定されるため、チェルノブイリ原子炉の事故よりもはるかに低いものと考えられます。しかし、福島第一原子力発電所事故の社会的、心理的及び経済的な影響は甚大なものであると予想されます。

放射能に汚染されている区域での生活および帰還が認められた場合の避難区域への帰還についての決定に対してのインフォームド・コンセントを得るため、現在、福島県では、環境中および食品中の放射能レベルの継続的なモニタリングとその解析が不可欠となっています。また、測定に基づく放射線量の現実的な評価を実施することも重要です。

我々は、現在、長期にわたり福島県のすべての居住者の健康を見守ることを目的とし、本事故後の最初の4ヶ月間に受けた外部被ばく線量を推定するための基本調査と、4種類の詳細調査(甲状腺超音波検査、総合的な健康診査、こころの健康度・生活習慣に関する調査、妊産婦に関する調査)を含む「福島県民健康調査」の公的な調査計画を実施しています。