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福島原子力発電所事故後の包括的な健康リスク管理 Comprehensive health risk management after the Fukushima Nuclear Power Plant accident

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
長崎大学/福島県立医科大学:山下俊一
掲載「Clinical Oncology」(2016)

2011年3月11日の東日本大震災とその後の福島第一原子力発電所の事故から5年が経過しました。緊急被ばく状況下での住民の安全確保を目的として、避難、屋内退避及び食品供給の統制を含む対策が、日本政府によって時宜に即して実施されました。しかし、特に、原子力の安全性と防護の領域においては、事故の継続中、なおかつその後の放射線の健康リスク管理のあり方でも明らかに改善の必要性があります。

放射能汚染地域での生活および一旦再入場が許可された避難区域への帰還決定に関するインフォームド・コンセントを得るため、福島県では、現在、環境中及び食品中の放射能レベルの継続的なモニタリングと詳細な解析が不可欠です。また、測定に基づく放射線量の現実的な評価を実施することも重要です。

これまで、福島県では、様々な種類の放射線健康リスク管理プロジェクトと調査が実施されてきました。それらの中で、福島県「県民健康調査」は、最大の健康モニタリング・プロジェクトです。この調査には、本事故後の最初の4ヵ月間に受けた外部被ばく線量を推定するための基本調査と、より詳細な4種類の調査「甲状腺検査」、「健康診査」、「こころの健康度・生活習慣に関する調査」および「妊産婦に関する調査」が含まれます。これらは、将来に向けて福島県のすべての居住者の長期的な健康に資することを目的としています。特に、福島原子力発電所事故の避難者における放射線リスクについての不安は、心理的なストレスと関連しています。

ここでは、福島県における震災後の復興上の困難な課題とレジリエンスに焦点を合わせ、現在行われている健康リスク管理について概説します。