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津田博士らの論文における深刻な誤りについて(letter) Re: Thyroid cancer among young people in Fukushima(letter)

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
放射線医学県民健康管理センター:高橋秀人
【共同著者】
放射線医学県民健康管理センター:大平哲也、安村誠司、
Nollet Kenneth、大津留晶、谷川攻一、阿部正文、大戸斉
掲載「Epidemiology」(2016)
関連リンクhttp://fukushima-mimamori.jp/news/2016/02/000248.html

津田博士らは、福島県により公表された(福島)県民健康調査の統計報告を分析し、福島県の甲状腺がん罹患率は、日本全体と比較して著しく高いとの分析結果を報告しました。しかし残念ながら、彼らの分析は、定常有病集団(prevalence pool)の期間を4年と設定した点に、重大な方法論的誤りがあります。

彼らは福島での甲状腺健診で発見された甲状腺がん患者集団について、甲状腺がんの症例ががん健診および細胞診で検出(「がん健診による検出」)可能な日から、甲状腺がんが臨床の場でがん健診なしで診断できたあるいは手術した(「臨床的に検出」)日までの期間として、原発事故からがん検出までの最大期間である4年間を用いて、定常有病集団(prevalence pool)を仮定しました。

この仮定は、すべての症例でがんが、原発事故時あるいはそれ以降に、がん健診により検出可能になったこと、そしてこれらのがん全てが4年以内に臨床的に検出されるほど進行したことを意味しています。しかしながらこれら双方の考え方には不備があります。彼らは二つの重要な可能性を無視しています。まず(1)がん健診により検出可能となった日(通常不明である)が、原発事故より前であったのではないかという可能性があること、また(2)甲状腺がんの進行は非常に遅いため、多くのがんが4年間では臨床的に発症しないのではないかという可能性があります。つまり定常有病集団における「4年間と仮定した平衡状態」はもはや成立していません。したがって論文の本質的な指標である罹患率比(IRR)には、その分子である福島で臨床的に検出されたがんの罹患率が過大推定されています。