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妊産婦に関する調査


福島第一原子力発電所の事故後の4年間に福島県で実施された小児甲状腺超音波検査の包括的調査結果 Comprehensive survey results of childhood thyroid ultrasound examinations in Fukushima in the first four years after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident

著者【筆頭著者】
鈴木眞一1,2
【連絡・責任著者】
山下俊一1,12
【共同著者】
鈴木悟1,2、福島俊彦1,2、緑川早苗1,3、志村浩己1,4
松塚崇5、石川徹夫1,6、高橋秀人1、大津留晶1,3、坂井晃1,7
細矢光亮1,8、安村誠司1,9、ケネス・E・ノレット1、大平哲也1,10
大戸斉1、阿部正文1、神谷研二1,11
1 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、2 福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座、3 福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座、4 福島県立医科大学医学部臨床検査医学講座、5 福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座、6 福島県立医科大学医学部放射線物理化学講座、7 福島県立医科大学医学部放射線生命科学講座、8 福島県立医科大学医学部小児科学講座、9 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、10 福島県立医科大学医学部疫学講座、11 広島大学原爆放射線医科学研究所、12 長崎大学原爆後障害医療研究所
掲載「Thyroid」(2016)

【背景】
甲状腺結節とがんは、大人に比べると子どもでは稀です。しかし、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故の後には、小児甲状腺がんの急増が見られました。2011年の原子力発電所事故後に福島県で取得されたデータについて混乱と誤解が生じるのを防ぐため、注意深く、標準化された診断基準を用いて甲状腺結節とがんのベースライン有病率を体系的に分析し、リスクに晒されていると考えられる人口に対して、その結果を包括的に適用する必要があります。

【目的】
福島県民健康調査の一環として、超音波を使って福島県内の子どもの甲状腺検査を行い、小児甲状腺所見、特にがんのベースライン有病率を明らかにすることを目的に、原発事故後の4年間の検査結果を分析しました。

【調査の対象と手法】
事故当時福島県内に住んでいた、2011年4月1日現在で満18歳以下の367,685名のうち、300,476名に甲状腺超音波検査を実施しました。そのうち、甲状腺結節が見つかった2,108名に対してさらに、高度な超音波機器を使って検査を行い、標準化された基準を適用して穿刺吸引細胞診(FNAC)の必要性を判断しました。FNACの結果によって、細胞診の更なる組織学的診断の確認ならびに手術の必要性が判断されました。

【結果】
追加検査(二次検査)を行った2,108名のうち、543名がFNACを受け、そのうち113名が悪性腫瘍または悪性腫瘍の疑いと診断されました。その後99名が外科的切除を受け、そのうち95例が甲状腺乳頭がん、3例が低分化がん、1例が良性小結節という結果でした。福島県の小児甲状腺がんの全体の有病率は、100,000人中37.3人で、避難区域とそれ以外との間に有意な差はみられませんでした。小児甲状腺がん患者の最初の4ヶ月間の外部被ばく推定値は2.2 ミリシーベルト未満です。

【結論】
今回の4年間にわたる調査により、福島県で発見された小児甲状腺がんの高い有病率は、マススクリーニングによるものと考えられます。本結果は、他のどの地域でも偶然発見された頻度を上回ります。しかし、手法が異なるため、がん登録に基づくものを含めたいかなる他の調査結果とも、直接比較することは、意味がありません。