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東日本大震災後の、妊婦健診施設の変更が妊娠期間に与えた影響の検討:福島県民健康調査 Effect of medical institution change on gestational duration after the Great East Japan Earthquake: The Fukushima Health Management Survey

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
山梨大学医学部社会医学講座:鈴木孝太
【共同著者】
後藤あや、藤森敬也
掲載「Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」(2016)

【目的】
本研究の目的は、福島県民健康調査(妊産婦調査)のデータを用いて、東日本大震災後に妊婦健診の施設を変更したことが妊娠期間に与えた影響を検討することです。

【方法】
福島県で東日本大震災を経験し、福島県民健康調査の一部である妊産婦調査に参加した妊婦のデータを解析しました。妊娠期間(日)と早産(妊娠37週未満での分娩)について、妊婦健診の受診施設(1施設のみ、妊婦自身による施設を変更、医学的な理由で施設を変更、里帰り分娩)による違いを検討しました。妊婦自身による施設の変更については、災害後の転居などとして考慮しました。重回帰分析とロジスティック回帰分析により、前述のような震災の影響を検討しました。

【結果】
妊産婦調査参加者のうち、5593人(全体の60.2%)が妊娠4週から37週で東日本大震災を経験しました。震災を経験した時点での妊娠週数や妊婦健診の受診状況(予定通りであったか)、分娩時の母親の年齢、居住地域、児の性別や出生順位で調整した後、医学的理由で施設を変更した場合には、有意に妊娠期間が短縮し(約10.6日)さらに8.5倍(95%信頼区間5.8-12.5)早産しやすいことが示されました。しかしながら、妊婦自身による施設の変更については、妊娠期間や早産との有意な関連は示されませんでした。

【結論】
東日本大震災と、その後の福島第一原子力発電所の事故に関して、妊婦健診受診状況が妊娠期間(早産)に与えた影響は有意ではありませんでした。