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福島県住民に対する甲状腺内部被ばく線量―評価と残された課題 Internal thyroid doses to Fukushima residents- estimation and issues remaining

著者【筆頭著者】
放射線医学総合研究所:金ウンジュ
【連絡・責任著者】
放射線医学総合研究所:栗原治
【共同著者】
放射線医学総合研究所:國島直晃、明石真言
日本原子力研究開発機構:百瀬琢麿
福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター:石川徹夫
掲載「Journal of Radiation Research」57巻(2016)
関連リンクhttp://jrr.oxfordjournals.org/content/57/S1/i118.full

放射線医学総合研究所では、福島原発事故による甲状腺内部被ばく線量の評価に取り組んできました。具体的には、(1)2011年3月に川俣町、飯舘村、いわき市で測定された1,080人の子供に関する測定結果、(2)日本原子力研究開発機構で2011年7月11日から2012年1月31日までに測定されたセシウムによる内部被ばく線量(約3,000人の成人)、(3)計算機シミュレーションによって再現されたヨウ素131の空気中濃度マップ、という3種類のデータを用いて、福島県内市町村の代表的な甲状腺内部被ばく線量の再構築を行ってきました。

上記の(1)-(3)のデータを用いて推計した線量は、国連科学委員会が報告した線量とは差があります。その原因の一つに経口摂取による寄与があります。国連科学委員会の報告では、経口摂取による線量寄与を考慮していますが、放医研の推計ではその寄与を考慮していません。事故後早期に食品摂取制限がなされたことを考えると、経口摂取による線量寄与は小さいと考えられますが、今後注意深く検討する必要があると考えています。

また内部被ばく線量評価のための新しいアプローチも検討しています。住民を行動パターンでグループ分けして、グループごとの代表的な線量を評価するという方法です。これにより、測定されなかった住民に関しても線量がある程度推測可能であると考えています。この目的のために、県民健康調査「基本調査」で得られた行動記録を使う計画を進めています。

すなわち、事故から比較的早い時期に内部被ばく検査を受けて線量が評価されている方について、行動記録とシミュレーションからも線量を評価して両者を比較検討するという計画です。そのため、上述した1,080人の小児甲状腺スクリーニング対象となった方や、放医研で初期にホールボディカウンタ測定を受けた方の一部の行動記録を使わせて頂いております。行動記録をもとに内部被ばく線量を評価するための試用版ソフトウエアも開発しており、地表面レベルの放射性核種濃度の時間変化と、対象者がいつ、どこにいたかという情報を統合して、個人ごとにある期間の内部被ばく線量を評価することが可能となっています。今後、このソフトウエアを用いた検討を進めていく予定です。