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福島原発事故による被ばく線量ならびに関連するリスク:最近の刊行物のレビュー Radiation doses and associated risk from the Fukushima nuclear accident: a review of recent publications

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
放射線医学県民健康管理センター:石川徹夫
【共同著者】
なし
掲載「Asia Pacific Journal of Public Health」(2017)
関連リンクhttp://journals.sagepub.com/toc/apha/29/2_suppl

福島第一原発の事故によって受けた線量に関して、国連科学委員会(UNSCEAR)や国際原子力機関(IAEA)から報告書が刊行されました。しかしながら、最近刊行された論文のデータはこれらの報告書では取り入れられていません。そこで本論文では、2015年以降に刊行された主要な論文の内容を(1)外部被ばく、(2)セシウムによる内部被ばく、(3)ヨウ素による内部被ばく(甲状腺の内部被ばく)に分けてまとめました。

(1)外部被ばくに関しては、事故後4か月間の実効線量を評価した県民健康調査「基本調査」に関する論文が2015年に発表されました。基本調査による線量は、国連科学委員会の報告書による線量と大きくは違いませんが、異なる点もあります。国連科学委員会の評価では、1歳児の線量は成人の1.67倍、10歳児の線量は成人の1.4倍の線量と評価されています。しかしながら、基本調査では線量の年齢依存性はそれほど明らかではありません。これは子供の屋外滞在時間が全般的に成人に比べて短いためではないかと考えられます。また、国連科学委員会では代表的な避難パターンを仮定して避難地域の市町村の平均線量を評価していますが、飯舘村の例では実際の避難は代表的避難パターンより早かったということが基本調査の行動記録からわかっています。このように、国連科学委員会で評価された線量は過大評価の要素がいくつか含まれていると言えます。

(2)セシウムによる内部被ばくに関して、国連科学委員会は、非避難区域の成人で最初の1年間の線量(経口摂取による)を0.94mSvと評価しています。一方で放射線医学総合研究所では、2011年6月末から7月にかけて、飯舘村、浪江町からの避難者を含む174名の内部被ばくを評価しました。これによるとセシウムによる内部被ばく実効線量は、90パーセンタイルで0.1mSvであったと報告しており、国連科学委員会の評価値(非避難区域)に比べてもずっと低い値となっています。

(3)甲状腺の内部被ばくに関しても、国連科学委員会の評価値は放射線医学総合研究所の評価値より全般的に高めの値となっています。この主な要因は、経口摂取による評価の違いに原因があるかもしれません。国連科学委員会の評価では、例えば1歳児に関して非避難地域においても経口摂取による甲状腺内部被ばく線量を33mSvと評価していますが、国内の文献からすると経口摂取からの線量への寄与はごく小さいと考えられています。

このように、最近刊行された論文を見ると、事故による線量は国連科学委員会による評価より全般的に低い値が報告されています。