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福島災害後の精神保健状況と社会的問題 Mental Health Consequences and Social Issues After the Fukushima Disaster

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
前田正治1,2
【共同著者】
大江美佐里2,3
1 福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、2 放射線医学県民健康管理センター、3 久留米大学医学部神経精神医学講座
掲載「Asia Pacific Journal of Public Health」(2017)

東日本大震災と引き続き発生した原子力発電所事故は、福島に住む人々の精神保健状況に多元的かつ長期的な影響を引き起こしました。本論では、原発事故の影響に焦点を当て、福島住民への心理社会的影響に関する論文を概観しました。

それらの研究によれば、津波だけではなく原発爆発事故の体験は、住民の記憶に刻み込まれ、様々な外傷後ストレス反応を生み出していました。慢性身体疾患、生活への不安、失職、社会的つながりの喪失、あるいは補償に関する憂慮などもまたそうした外傷性ストレス反応に関連していました。

さらに、被ばくの身体リスクへの慢性不安が、放射線物質のフォールアウトによってもたらされ、それはとくに若年の母親に強くみられました。

こうした放射線リスクや将来の計画に関して、人々の意見が分かれることも少なくなく、それは災害以前にあったコミュニティや家族のレジリエンスを低下させています。さらに、こうしたコミュニティ・レジリエンス低下によって、福島における震災関連自殺の増加が生じている可能性があります。一般大衆にある"放射線スティグマ"と避難住民にあるセルフ・スティグマのような、自然災害時にはまず見られない、福島特有の社会的問題もまた増加しています。