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放射線災害下の甲状腺検査の心理社会的影響 Psychosocial Issues Related to Thyroid Examination After a Radiation Disaster

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座:緑川早苗
【共同著者】
放射線医学県民健康管理センター:谷川攻一、鈴木悟
福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座:大津留晶
掲載「Asia Pacific Journal of Public Health」(2017)

福島第一発電所事故後に行われている甲状腺超音波検査は、1986年のチェルノブイリ原発事故の経験と同様に、甲状腺がんのリスクが増えるのではないかという懸念に対応して開始されました。この調査はチェルノブイリ原発事故後に行われたものに次いで、2番目に大規模な若年者の甲状腺がんスクリーニングです。

若年者の甲状腺がんの自然史は十分に解明されていないため、甲状腺超音波を用いた大規模なスクリーニングは、十分に注意深く計画したとしても、韓国で報告されているような過剰診断の問題を引き起こす可能性があります。甲状腺は住民にとってなじみの少ない臓器であることもあり、住民には甲状腺検査の結果と放射線被ばくを結び付けて考えがちであり、これは新たな不安や自責感を抱かせることにつながります。

本総説では、がんスクリーニングを取り巻くジレンマを考察し、過剰診断の可能性に関連した心理社会的問題に対応する必要性について述べます。福島原発事故後行われている甲状腺がんスクリーニングの結果によって引き起こされる個人の不安と社会不安に、我々がどのように対応しているかを報告しました。甲状腺検査に関連するこれらの知見と我々の経験は、住民の生涯に渡る意思決定を支援し、将来の災害に備えるために有用であると考えられます。