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第14章 福島県民健康調査「甲状腺検査」5年間の中間報告 Chapter 14 – Five-Year Interim Report of Thyroid Ultrasound Examinations in the Fukushima Health Management Survey

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
大津留晶1
【共同著者】
緑川早苗1、鈴木悟1、志村浩己1、松塚崇1、山下俊一2
1 福島県立医科大学、2 国立大学法人長崎大学
掲載「Thyroid Cancer and Nuclear Accidents:Long-term Aftereffects of Chernobyl and Fukushima」(2017)

福島県・県民健康調査の甲状腺検査において、超音波スクリーニングにより、甲状腺がんが数多く発見されていることと放射線被ばくとの関連は、いくつかの観点から非常に考えにくいとされています。例えば、推定されている線量が非常に低いこと、事故からの期間が短いこと、甲状腺がん患者の年齢分布、地理的分布、遺伝子変異のパターン、病理学的所見の特徴などからです。これらからは5年間におけるスクリーニング効果に起因する過剰診断の可能性が示唆されます。

個人レベルにおいても公衆衛生学的次元においても、スクリーニングのメリットが大きくなる可能性のある集団を特定するためには、最も大きな影響を受けたと考えられる方々の個別の甲状腺等価線量評価が可能となることが必要です。しかしたとえ最も大きな影響を受けたと考えられる人々の等価線量推計が可能となったとしても、スクリーニングのメリットは実際には相対的に小さいと想定されます。それは甲状腺がんの予後が良好であるため早期発見のメリットを受けられる人の割合が多くないと予想されることに加え、心理社会的影響は生涯残ると考えられるからです。

過剰診断のリスクを減らすためには、それらを包括的に考慮してスクリーニングにおける各種基準を熟慮する必要があると思われます。