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運動習慣は福島第一原子力発電所事故後の福島県内の子どもたちのメンタルヘルスのために重要である: 福島県民健康調査 Exercise Habits Are Important for the Mental Health of Children in Fukushima After the Fukushima Daiichi Disaster: The Fukushima Health Management Survey

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
板垣俊太郎1
【共同著者】
針金まゆみ1、前田正治1、安村誠司1、鈴木友理子1,2、増子博文1、永井雅人1
大平哲也1、矢部博興1
1 福島県立医科大学、2 国立精神・神経医療研究センター
掲載「Asia Pacific Journal of Public Health」(2017)
関連リンクhttp://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1010539516686163

東日本大震災とそれに引き続く原子力発電所事故のため、福島県内の子どもたちの屋外活動が非常に減少してしまいました。そのため、災害後の運動習慣減少と子どものメンタルヘルスへの悪影響を調査しました。

対象は、2011年3月11日に計画的避難区域に居住していた6歳から15歳までの2万9585名です。2011年の県民健康調査において、対象者の両親または保護者がStrengths and Difficulties Questionnaire (SDQ)と呼ばれるチェックリストと運動習慣について記入した調査票を用いました。

1万8745名から回答が得られ、その中から不十分な回答などを除いた1万824名の回答を統計学的解析に用いました。SDQの16点以上回答者をメンタルヘルスのハイリスク群と規定したところ、運動習慣が無いこと、性別が男性であること、避難先が福島県外であることとの関係で、運動習慣が無いことがメンタルヘルスのハイリスクと最も関係があることがわかりました(運動習慣が無い; multivariate-adjusted prevalence ratio [PR] = 1.49; 95% CI 1.38-1.62, 男性である;PR=1.25; 95%CI 1.16-1.35, 福島県外に避難している; PR=1.18; 95% CI 1.09-1.28)【PRの値が高いとSDQ16点以上で示されたメンタルヘルスのハイリスクである可能性が高いと言えます】。

このことは、性別、年齢、避難場所、治療中の病気があること、原発事故を経験したこと等に分けて層別解析してみても、ほぼ同様の結果が得られました。

これらのことから、定期的な運動習慣は災害後の子どもたちのメンタルヘルスの維持のために重要であることが判りました。今回の報告は、原発事故後において屋外での運動制限環境下において報告された世界初の大規模調査の報告です。