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第13章 福島原発事故後の甲状腺線量評価に関する研究のレビュー Chapter 13 – A Review of Studies on Thyroid Dose Estimation After the Fukushima Accident

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
放射線医学県民健康管理センター:石川徹夫
【共同著者】
なし
掲載「Thyroid Cancer and Nuclear Accidents: Long-term Aftereffects of Chernobyl and Fukushima」(2017)

福島第一原発事故によって甲状腺が受けた線量に関して、国内外の機関からの報告をまとめました。

(1)国際機関からの報告
 世界保健機関(WHO)は2012年5月に「予備的線量評価」、2013年2月に「健康リスク評価」という報告書を公表しました。その後、2014年4月には国連科学委員会(UNSCEAR)が福島事故に関する報告書を公表しました。 飯舘村、浪江町を例に取ると、これら3つの報告書による甲状腺線量(成人、地域ごとの代表値)は以下のように評価されています。
飯舘村:10-100 mSv (WHO, 2012), 34 mSv (WHO, 2013), 21 mSv (UNSCEAR)
浪江町:10-100 mSv (WHO, 2012), 63 mSv (WHO, 2013), 34-35 mSv (UNSCEAR)
これらはいずれも、内部被ばく、外部被ばくを合わせた値です。

(2)国内研究グループからの報告
①外部被ばく
 県民健康調査・基本調査によって、事故後4か月間の外部被ばく実効線量が評価されています。外部被ばくについては、ほぼ全身均一に放射線を受けていると考えられ、実効線量(全身平均で見たときの線量)も甲状腺線量(甲状腺について見たときの線量)もほぼ同じであると考えられます。基本調査の結果や個人線量計の結果から、事故後1年間の甲状腺線量(外部被ばく)は、飯舘村で6 mSv程度、浪江町で2 mSv程度と推測されます(いずれも成人)。
②内部被ばく
 甲状腺の直接測定によって、浪江町(一部、南相馬市も含む)からの避難者54名(成人)について、甲状腺内部被ばく線量の中央値として3.3 mSvという値が得られています。飯舘村については、小児甲状腺スクリーニング測定(315名、15歳以下)の結果から、甲状腺内部被ばく線量の中央値は5 mSv以下とみられます。
③国際機関からの報告との比較
 国内からの報告に基づくと、内部被ばく、外部被ばくを合わせた甲状腺線量(成人)の中央値としては、飯舘村、浪江町でも10 mSv程度、またはそれ以下と推測されます。ただし、線量は幅広い範囲に分布していること、子どもは成人より線量が大きい可能性があることには注意する必要があります。国際機関からの報告は、いずれも計算機シミュレーションを用いた線量評価であり、人を直接計測した方法より過大評価の傾向があると思われます。