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震災前後の高血圧の有病割合、治療割合、管理割合の推移に対する避難の影響 Impact of evacuation on trends in the prevalence, treatment, and control of hypertension before and after a disaster

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
永井雅人1,2
【共同著者】
大平哲也1,2、高橋秀人1、中野裕紀1,2、坂井晃1,3、橋本重厚1
安村誠司4、阿部正文1、福島県県民健康調査グループ
1 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、2 福島県立医科大学医学部疫学講座、3 福島県立医科大学医学部放射線生命科学講座、4 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座
掲載「Journal of Hypertension」(2017)

【背景】
福島第一原発の事故により避難を余儀なくされた住民において、震災前後で高血圧や肥満など、循環器疾患の危険因子の有病割合が増加していることが明らかになっています。そのため、今後の循環器疾患増加が危惧されています。これを防ぐためには高血圧を治療し、適切な血圧水準を保つことが重要です。しかしながら、これまで長期間にわたる震災前後の高血圧の治療割合および管理割合の推移は検討されていませんでした。

【目的】
東日本大震災前後の高血圧有病割合、服薬割合、管理割合の推移を明らかにするとともに、各推移に対する避難の有無の影響を検討しました。

【方法】
対象者は2008~2014年の特定健診を受診した40~74歳の方のうち、避難区域に指定された13市町村に居住していた方、各年男性:10,000人前後、女性:12,000人前後です。13市町村より提供を受けた健診データを用い、2010年国勢調査人口を基に直接法にて5歳階級別に年齢を標準化した高血圧有病割合(収縮期/拡張期血圧≧140/90 mmHgまたは服薬)、治療割合(高血圧有病者の内、服薬者の割合)、管理割合(服薬者の内、収縮期/拡張期血圧<140/90 mmHgの割合)を年毎に算出しました。2011年以降は避難の有無別で層別化し、各割合を同様に算出しました。また、ポアソン回帰分析より非避難者に対する避難者の各割合比を年毎に交絡因子を調整して算出しました。

【結果】
高血圧有病割合は2012年まで上昇傾向にあり、男性48.8%、女性39.0%とピークに達しましたが、その後は低下傾向を示しました。治療割合および管理割合は上昇傾向が続いており、2014年には男女それぞれ治療割合が66.3%、70.6%、管理割合が67.1%、68.1%でした。治療割合および管理割合の上昇傾向は特に震災後で顕著でした。以上の傾向は避難の有無で層別化しても同様にみられました。
figure12.png
一方、いずれの割合も非避難者に比し避難者でより高い傾向が観察されましたが、各年の高血圧有病割合、治療割合、管理割合の多変量調整割合比はそれぞれ男性1.02~1.03、0.99~1.05、0.93~1.06、女性0.96~1.00、0.99~1.05、1.06~1.11でした。以上の値は一部を除き有意差は観察されませんでした。
figure3.png

【結論】
高血圧有病割合は2012年をピークに低下傾向にある一方、服薬割合および管理割合は上昇傾向が続いており、特に震災後に顕著な上昇が観察されました。しかしながら、高血圧の有病割合、治療割合、管理割合に対する避難の有無の影響は多くの年で観察されず、観察されてもわずかでした。