「県民健康調査」の情報をご提供するサイトです




平成30年度調査オンライン回答はこちらからgtgt
妊産婦に関する調査


福島災害後の糖尿病の増加のリスクは放射線被ばくによるがんのリスクよりも高い Additional risk of diabetes exceeds the increased risk of cancer caused by radiation exposure after the Fukushima disaster

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
村上道夫1,2
【共同著者】
坪倉正治3,4、小野恭子5、野村周平6,7、及川友好3
1 福島県立医科大学医学部健康リスクコミュニケーション学講座、2 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、3 南相馬市立総合病院、4 相馬中央病院、5 産業技術総合研究所、6 インペリアル・カレッジ・ロンドン、7 東京大学
掲載「Plos One」(2017)
関連リンクhttp://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0185259

2011年の震災および原発事故では、生活環境の変化などに伴う生活習慣病(糖尿病など)の増加や放射線被ばくといった様々な健康リスクをもたらしました。ここで、我々は、震災および原発事故後の糖尿病の増加(震災前からの変化分)に伴う健康リスクと放射線による発がんのリスクを比較しました。さらに、これらの対策の費用対効果を評価しました。対象は、南相馬市と相馬市の住民です。リスクを比較するために用いた指標は、損失余命(集団で見た時に平均でどのくらい余命が縮まるかを表す指標)です。また、対策の費用対効果については、食品の出荷制限、除染、ホールボディカウンターによる内部被ばく検査といった放射線被ばく対策と一般的な糖尿病対策について評価しました。糖尿病の増加によるリスクを過小に、放射線被ばくによる発がんリスクを過大に評価するという方法で比較を行いました。

糖尿病の増加によるリスクを1人あたりの損失余命で表すと、若年層を含む住民全体で2.6×10-2年~4.1×10-2年、40-70代の住民全体で5.0×10-2年~8.0×10-2年でした。これに対し、放射線被ばくに伴う発がんによる1人あたりの損失余命は、住民全体で0.69×10-2年、40-70代の住民全体で0.24×10-2年でした。糖尿病のリスクは、放射線被ばくに伴う発がんと比べて、住民全体で3.7-5.9倍、40-70代で21-33倍でした。対策の費用対効果を単位生存年延長費用(集団で見た時に、平均で余命1年を延長するのにかかる費用)を用いて比較すると、上述の放射線被ばく対策は、一般的な糖尿病対策と比べおよそ1-4桁以上費用対効果が悪いとの結果になりました。今後、糖尿病のリスクを緩和する対策を進めることが、健康状態改善のために重要です。