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放射線災害における中期的精神健康度の予測因子としての放射線リスク認知:福島県県民健康調査 Perception of Radiation Risk as a Predictor of Mid-Term Mental Health after a Nuclear Disaster: The Fukushima Health Management Survey

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
三浦至1
【共同著者】
永井雅人2,3、前田正治2,4、針金まゆみ2、藤井千太2,4、大江美佐里5
矢部博興1、鈴木友理子6、高橋秀人2、大平哲也2,3、安村誠司2,7、阿部正文2
1 福島県立医科大学医学部神経精神医学講座、2 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、3 福島県立医科大学医学部疫学講座、4 福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、5 久留米大学医学部神経精神医学講座、6 国立精神・神経医療研究センター、7 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座
掲載「International Journal of Environmental Research and Public Health」(2017)
関連リンクhttp://www.mdpi.com/1660-4601/14/9/1067

放射線災害において被災者の精神的・心理的な健康は重要な問題ですが、災害後の精神状態が中期的にどう推移し、その変化に何が関係するかついてはなお不明な点が多いのが現状です。今回われわれは、東日本大震災後の福島第一原子力発電所事故後に避難地域と指定された地域の住民を対象に、精神的健康度の推移と、放射線の健康影響のリスク認知や他の要因との関係について、平成23年度と平成24年度の県民健康調査のデータを用いて検討しました。

精神的健康度はK6という尺度を用いて評価され、その変化パターンによって4つの群(症状がほとんどないまま経過する群、症状が回復した群、症状が慢性的に続く群、症状が悪化した群)に分けられました。放射線の健康影響に関するリスク認知については、急性影響、晩発影響、遺伝的影響について可能性が低い(1)から可能性は非常に高い(4)までの4段階で評価を行いました。

3万6056人の対象者のうち、80.3%は症状がほとんどなまま経過した群に分類されました。女性において、放射線による急性影響が大きいと考えることは、症状が悪化した群と関連があることが明らかになりました。また、平成23年度の調査時点でPTSD(外傷後ストレス障害)が存在すること、または精神疾患の既往があることは症状が慢性的に続くことまたは症状が悪化することと関連することが分かりました。

今回の結果から、女性において、放射線の影響が大きいと考える避難者では、精神的健康状態が中期的に良くない経過をたどるリスクがあることが示唆されました。適切なケアや介入のためには、PTSDの存在または精神疾患の既往とともに、放射線の健康影響のリスク認知の注意深い評価が必要であると考えられました。