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東日本大震災後の、笑いの頻度とライフスタイルや社会的つながりとの関連:福島県「県民健康調査」より Lifestyle factors and social ties associated with the frequency of laughter after the Great East Japan Earthquake: Fukushima Health Management Survey

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
広崎真弓1
【共同著者】
大平哲也1,2、安村誠司2,3、前田正治2,4、矢部博興2,5、針金まゆみ2
高橋秀人6、村上 道夫2,7、鈴木友理子8、中野裕紀1,2、章ぶん1
上村真由1、阿部正文9、神谷研二2,10
1 福島県立医科大学医学部疫学講座、2 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、3 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、4 福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、5 福島県立医科大学医学部神経精神医学講座、6 国立保健医療科学院、7 福島県立医科大学医学部健康リスクコミュニケーション学講座、8 国立精神・神経医療研究センター、9 福島県立医科大学附属病院、10 広島大学原爆放射線医科学研究所
掲載「Quality of Life Research」(2018)

うつやトラウマなど、災害後のこころの問題についてはこれまで多く研究されていますが、災害後のポジティブな感情についてはまだそれほど研究されていません。近年、ポジティブな感情が人々の健康にとって重要であると認識され始めています。そこで、本研究ではポジティブな感情のひとつの表れとして笑いに注目し、2011年の東日本大震災後、避難地域に住んでいらっしゃる方を対象に笑いの頻度についてお尋ねし、どんな要因と関連がみられるのか調査を行いました。

具体的には、2012年度の県民健康調査にご回答いただいた20歳以上の5万2320名の方について、笑いの頻度と、仕事状況や家族人数の変化、転居回数などのほか、さまざまなライフスタイルとの関連を調べました。

まず、ほぼ毎日笑うと答えた方は全体の27.1%でした。男性より女性の方が、そして高齢者層より若年層の方が毎日笑っている人が多いという結果でした。また、震災前後で家族の人数が減った人に比べて家族の人数が増えた人は、約1.2倍よく笑っており、転居回数が5回以上の人に比べて2回以下の人は、約1.2倍よく笑っているという結果が見られました。同時に、全く運動習慣がない人に比べて毎日運動する人の方が、そして、レクリエーション活動にめったに参加しない人に比べてよく参加する人の方が、それぞれ約2.3倍よく笑っているという結果も見られました。さらに、健康状態がきわめて悪いと答えた人に比べて、良好と答えた人は約2.8倍、きわめて良好と答えた人は約4.6倍よく笑っているという結果が見られました。

これらの結果から、笑いの頻度は性別や年齢、ライフスタイルや健康状態と関連していることがわかりました。そして、災害後のライフスタイルの変化によって、笑いの頻度が影響を受ける可能性が示唆されました。災害後の転居などなかなか避けられないことも多々ありますが、地域での参加しやすいレクリエーション活動の実施など、少しでも笑いが増えるような工夫をすることが避難地域において重要であると考えられます。笑うことは健康に良い影響をもたらすといわれており、笑いを増やすことで、避難地域での健康維持に少しでもつなげていくことが大切です。