東日本大震災前後における生活習慣病の推移:福島県県民健康調査 Trends in lifestyle-related diseases before and after the Great East Japan Earthquake: the Fukushima Health Management Survey

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
大平哲也1,2
【共同著者】
中野裕紀1,2、岡崎可奈子1,2、林史和1,2、弓屋結1,2、坂井晃1,3
1 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、2 福島県立医科大学医学部疫学講座、3 福島県立医科大学医学部放射線生命科学講座
掲載「Journal of National Institute of Publich Health」(2018)

2011年3月11日、東日本大震災が発生し、引き続き東京電力福島第一原子力発電所事故が起きました。原発周辺の多くの住民が避難を余儀なくされ、生活習慣が変化しました。そこで、各市町村が実施している健康診査、福島県が実施している県民健康調査のデータを用いて、震災後の避難が循環器疾患危険因子、生活習慣病に影響する可能性を検討しました。本論文では、震災前後における健康診査結果の変化、県民健康調査の生活習慣病に関する縦断的検討の結果を概説します。震災前後において健康診査データを比較した結果、震災後、避難区域住民には過体重・肥満の人の割合、高血圧、糖尿病、脂質異常、肝機能異常、心房細動、多血症有病率の上昇がみられました。

さらに、震災後1~2年間と3~4年間の健診データを比較したところ、糖尿病、脂質異常については一層の増加がみられました。したがって、避難区域住民、特に実際に避難した人は、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患が震災後に起こりやすくなる可能性が考えられました。これらの要因としては震災後の仕事状況の変化、避難による住居の変化などによる身体活動量の低下、心理的ストレスの増加などがうかがえました。今後、避難者の循環器疾患を予防するために、地域行政と地域住民が協働して肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常の予防事業に取り組む必要があります。