日本語版アテネ不眠尺度簡易実施版の計量心理学的特性~福島県県民健康調査 Psychometric evaluation of the simplified Japanese version of the Athens Insomnia Scale: The Fukushima Health Management Survey.

著者【筆頭著者、連絡・責任著者】
岩佐一1
【共同著者】
竹林由武2、鈴木友理子3、八木亜紀子4、章ぶん5、針金まゆみ4 前田正治6、大平哲也7、矢部博興8、安村誠司1
1 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、2 福島県立医科大学医学部健康リスクコミュニケーション学講座、3 国立研究開発法人日本医療研究開発研究機構、4 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、5 千葉大学予防医学センター、6 福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、7 福島県立医科大学医学部疫学講座、8 福島県立医科大学医学部神経精神医学講座
掲載「Journal of Sleep Research」(2019)
関連リンクhttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jsr.12771

福島県県民健康調査の初年度データを用いて、「日本語版アテネ不眠尺度簡易実施版(AIS-SJ)」の計量心理学的特性を調べました。福島県内の避難区域に住んでおり、東日本大震災を経験した方々(男性22,878人、女性27,669人)のデータを分析しました(平均年齢:52.9歳、標準偏差18.6)。AIS-SJは対象者の不眠症を評価するために使用し、その妥当性は「心理的苦痛尺度(K6)」、教育歴、健康度自己評価、災害関連の体験との関連により評価しました。分析結果を以下に記します。
因子分析により、AIS-SJは、「夜間の不眠」、「日中の眠気」の2つの下位尺度で構成されることが確認されました。AIS-SJは尺度として十分なまとまりを持っていました。AIS-SJ得点は、女性においてのみ有意な年齢差が認められ、若年女性より高齢女性において不眠の傾向が強いことが分かりました。AIS-SJ得点には小さいながらも性差が認められ、男性よりも女性のほうが不眠の傾向が強いことが分かりました。AIS-SJ得点は、精神疾患の既往、近親者との死別、津波の体験、原子力発電所の事故の体験、住宅の損傷、失業と弱から中程度の相関を示しました。AIS-SJ得点は、健康度自己評価、心理的苦痛、心的外傷後ストレス障害(PTSD)との間に強い相関関係が認められました。
以上より、AIS-SJは、地域住民の不眠症の症状を評価するために有用であることが確認できました。