よくあるご質問(健康診査)

「健康診査」の検査項目には、どのような意味があるのですか?

放射線被ばくによる晩発影響(被ばく後しばらくしてから身体に病的症状が出ること)については、少なくとも数年以上の潜伏期があり、しかも100ミリシーベルト以下の線量では、喫煙、飲酒、食生活、ストレス、運動不足などの生活習慣が健康に与える影響の方が大きく、放射線の影響による健康リスクの明らかな増加は確認されていません。健やかに暮らしていくためには、過度に放射線を怖がることなく、生活習慣の改善に努め、自らの健康を見つめなおすことが大変重要となります。

このため、県民健康調査の「健康診査」においては、今回の東日本大震災および福島第一原発事故の影響により、突然故郷からの避難を余儀なくされ、生活習慣・生活スタイルを一変せざるを得なかった方々を対象として、生活習慣病の予防を含め、様々な疾病の早期発見、早期治療につなげることに主眼をおいた検査項目を設定しています。

以上のことから、16歳以上の健診項目については、これまでの「特定健康診査」の検査項目を基本として、感染症やアレルギー、白血病、がんなど様々な病気の診断や早期発見の一助となる血算(貧血検査、血小板数、白血球数、白血球分画)とともに、尿潜血、血清クレアチニン、eGFR(糸球体濾過率:腎臓が血液を1分間に濾過する能力)、尿酸を追加項目として設定しています。

また、お子様の健康を見守っていくため、15歳以下のお子様についても血液検査(血算)を実施することとしており、小学生以上のお子様または児童・生徒につきましては、生活習慣病の早期発見の一助となるよう、希望により血液生化学検査を追加して検査することができるようにしています。

乳幼児に関しては、採血に伴う身体的負荷や心理的不安が少なくないこと等から、これらを考慮し、採血の実施は保護者の希望により選択できることをより明確にするため、「受診録兼結果報告書」に採血の希望の有無の欄を設け、確認しています。

県民健康調査「健康診査」では、次の検査を行っております。

  • 身体の発育状況の検査(身長、体重)
  • 貧血検査(赤血球数、ヘマトクリット、ヘモグロビン)
  • 腎臓機能の状態の検査(尿潜血、尿蛋白、血清クレアチニン、eGFR)
  • 肝臓機能の状態の検査(AST、ALT、γ-GT)
  • 脂質異常症の有無を評価する検査(HDL-C、LDL-C、中性脂肪(TG))
  • 生活習慣病に関する検査(血圧、腹囲、空腹時血糖、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、尿糖)
  • 感染症や白血病等の発見の一助となる検査(血小板数、白血球数、白血球分画)
  • 痛風などを見つける手がかりとなる検査(尿酸)

この検査項目で放射線の影響が分かりますか?

放射線の健康影響は、個々の疾患ごとに発症率の差が認められますが、放射線によって認められる特有の疾患はございません。よって放射線の影響評価を直接行う検査項目ではなく、生活習慣病を含めて、様々な疾病の早期発見・早期治療につなげていくことに主眼をおいた検査項目となっております。

放射線の健康への影響が心配です。

健診の年間スケジュールを教えてください。

健康診査は、市町村などで行われている健診制度を活用するとともに、対象地域の住民の方が県内外に避難している状況を踏まえて実施しております。

具体的には「15歳以下の小児」と「16歳以上の県外居住の方」には、指定医療機関での個別健診を実施しています。「16歳以上の県内居住の方」には、以下の3種類の方法で健診を実施しています。

  1. 広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村、南相馬市、田村市、川俣町が実施する特定健診・総合健診に、この健診で追加した検査項目を上乗せして実施
  2. 放射線医学県民健康管理センターが実施する集団健診
  3. 県内指定医療機関での個別健診

健康診査の大まかなスケジュールについては、「健康診査スケジュール」をご覧ください。

承諾書を提出しないと、「健康診査」を受診できないのでしょうか?

承諾書への記入がなくても「健康診査」は受診できます。

承諾書は、「健診項目の結果や質問票への回答についての情報を、健診機関から、福島県立医科大学および、震災時にお住まいだった自治体に提供されること」についての同意を得るために提出していただいております。

放射線医学県民健康管理センターではこれらのデータを、個人が特定されない形で統計解析し、福島における対象地域の住民の皆様の健康状態をいち早く把握し、対応を検討するために役立てます。また、皆様が震災時にお住まいだった自治体に提供し、住民の皆様の健康維持管理、増進活動へ活かしていただくことを目的としております。

承諾いただけない場合、健診結果について県民健康管理センターではお預かりすることができないため、当センターからご本人様への結果通知はできなくなります。この場合、健診機関から結果は通知されますが、後から再発行が必要になった場合は、ご自身で健診を受診された医療機関等へお問い合わせいただくことになります。再発行の手続き等について、別途ご相談ください。

集団健診の申込書を送りましたが、受付票が送られてきません。希望した日に直接会場へ行ってかまいませんか?

受付票は送付しておりませんので、ご希望された日に直接会場にお越しください。ご希望の日が定員を超えている場合は、事前に電話でご連絡させていただくこともございます。なお、都合によりご希望された日に受診できなかった場合は、他の日に受けていただけます。日程変更については、ページ下部のコールセンターへお問い合わせください。

会社や学校、市町村で健康診査を受けましたが、それとは別に県民健康調査の「健康診査」も受けなければならないのですか?

県内居住の16歳以上で、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村、南相馬市、田村市、川俣町が実施する特定健診、総合健診を受診されている方については、その健診の際に、県民健康調査で追加された検査項目を上乗せして一度に実施します。この場合、県民健康調査の「健康診査」も受けたことになりますので、別に受診する必要はありません。しかし、それ以外の方については、県内各地で福島県立医科大学が実施する集団健診で健康診査を受診いただくか、県内外の医療機関において、個別に受診いただくことになります。

県民健康調査の「健康診査」を受けて承諾書を提出(データを提供)したら、一人ひとりに結果は戻ってきますか?

「健康診査」の結果は、承諾書を提出されない場合も、受診からおよそ1~2ヶ月後に検査機関等から一人ひとりにお届けいたします。
結果が届かない場合は、宛先不明によりお届けできていない可能性があります。
大変恐れ入りますが、ページ下部のコールセンターにご連絡をお願いいたします。

県民健康調査「健康診査」のお知らせが、家族の中で届く人と届かない人がいるのはなぜですか?

健康診査は、対象となる皆様にもれなく受診いただくため、年間で複数の受診機会を設けており、それぞれの受診機会は実施時期がずれています。年間の早い段階で受診いただいた方は、受診済みとして、その後予定している健診のご案内はお届けしていないことから、このようなことがあるものと思われます(※下記の3-1を受診済みの方は、同じ年度内の3-2や3-3のご案内はお送りしません)。ご心配な方はページ下部のコールセンターにご相談ください。

「健康診査」の対象となる方

平成23年時に警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域に指定された市町村及び特定避難勧奨地点の属する区域に住民登録があった住民並びに基本調査の結果必要と認められた方々です。

  • 対象地域=広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村、南相馬市、田村市、川俣町、伊達市の一部(特定避難勧奨地点の属する区域)
  1. これらの方のうち15歳以下の方

    現在、県外にお住まいの方も含めて、県内外の指定医療機関で小児健診を受診いただけます。

  2. これらの方のうち16歳以上の方で県外に居住されている方

    県外の指定医療機関で受診いただけます。

  3. これらの方のうち16歳以上の方で県内に居住されている方

    3つの方法があります。

    • 3-1.広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村、南相馬市、田村市、川俣町が実施する特定健診、総合健診に県民健康調査で追加された検査項目を上乗せして実施
    • 3-2.放射線医学県民健康管理センターが実施する集団健診
    • 3-3.県内の指定医療機関で実施する個別健診

病気の治療中でいつもお医者さんに診てもらっています。「健康診査」を受けなくてはなりませんか?

可能な限り受診してください。

「健康診査」は、医療診療上の検査とは異なり、生活習慣病の予防を含め、様々な疾病の早期発見、早期治療につなげることに主眼をおいた検査項目を設定しているためです。

健康診査の対象となる方には、そのご案内を送りする際に、健康診査実施医療機関のリストを同封しております。現在、通院中の医療機関が、そのリストに入っているかどうかをご確認ください。もしリストに入っている医療機関であれば、県民健康調査「健康診査」の個別健診を受診できます。その医療機関に、県民健康調査「健康診査」の予約をお取りください。

個別健診を医療機関で受診するときに、がん検診も一緒に受けたいのですが。

「健康診査」を受診する医療機関に事前にお問い合わせください。医療機関によって、対応できる医療機関とできない医療機関がございます。また、県民健康調査の「健康診査」の項目には入っておりませんので、可能であったとしても、がん検診の費用はご自身の負担となりますことをご了解ください。

お問い合わせ

福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター

〒960-1295 福島県福島市光が丘1番地

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