よくあるご質問(基本調査)

基本調査について

基本調査の目的は何ですか? 基本調査で何がわかるのですか?

基本調査は、原発事故時に福島におられたすべての県民の皆様の健康見守りの基礎となるデータを得るために開始されました。問診票に震災後4か月間の皆様の行動記録を記入いただくことで、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって受けた外部被ばく線量を推計します。この調査は、空間線量率の最も高かった時期の一人ひとりの外部被ばく線量を推計する唯一の方法です。

この時期のご自身の外部被ばく線量は、皆様の将来にわたる健康管理の基礎資料となります。また、県民の皆様の線量を全体的に見て、分析することは、福島県民の皆様の今後の健康管理を検討するうえでも重要です。

基本調査に回答していない場合、甲状腺検査や健康診査などの詳細調査受診の案内は届かないのですか?

基本調査への回答が詳細調査を受けるための前提になっている、ということは一切ございません。回答していない場合でも、詳細調査をお受けいただけます。しかしながら基本調査は、空間線量率の最も高かった時期の一人ひとりの外部被ばく線量を推計する唯一の方法です。

この時期のご自身の外部被ばく線量は、皆様の将来にわたる健康管理の基礎資料となります。また、県民の皆様の線量を全体的に見て、分析することは、福島県民の皆様の今後の健康管理を検討するうえでも重要です。その重要性をご理解いただき、是非ご回答いただくようお願い致します。

基本調査に回答しないことで、何か不利益はありますか?

調査への回答は任意ですので、回答しないことが不利益になることはありません。基本調査は、2011(平成23)年3月11日~2011(平成23)年7月11日までの期間中、「いつ」「どこに」「どのくらいいたか」などをご記入いただくことで、空間線量率が最も高かった時期の放射線による外部被ばく線量を推計するために行っております。この調査によって一人ひとりの外部被ばく線量の推計のみならず、福島県民全体としての被ばく線量の程度を把握することも可能です。調査にご協力いただくことで、皆様の健康を見守る土台になりますことをご理解いただき、ご記入をお願いしている次第です。

外部被ばく線量について

震災発生から数年が経ちましたが、外部被ばく線量を知ることは何かの役に立つのでしょうか?

基本調査は、最も空間線量率の高かった原発事故発生直後から4ヶ月間の外部被ばく線量を知るための唯一の方法です。ご自身の外部被ばく線量を把握できることに加えて、さらにその情報を福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センターで共有することにより、これから10年後、20年後、30年後に至る長期にわたり皆様の健康を見守る基礎データとなります。

長期にわたる低線量の外部被ばくの影響について検証する目的は何ですか?

県民の皆様の健康を見守ることが第一であり、実験材料にすることは決してありません。世界に例のない、福島第一原発事故による低線量被ばくは、これまでの知見から県民の皆様の健康に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。

しかし、低線量被ばくの健康影響については、さまざまな学説もあることから、より安心いただくために、100ミリシーベルト以上での健康影響評価を参考に、そのリスクを推測し、長期にわたり健康を見守り続けるために、この県民健康調査を実施しています。結果としてこれらのデータが次世代に役立つ可能性があります。調査=実験=モルモットのよう感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、世の中の調査の多くはそのような図式にはあてはまらないと考えます。逆に、科学的に妥当な調査がなかなか行われなかったために、健康被害に早急な手が打てなかったり、被害がないのにもかかわらず過剰に不安があおられて社会が疲弊したりということは、これまでの歴史の中でしばしば起こっているようです。本調査には、このような大災害後の皆様の健康増進の基盤の一つとご理解いただいた上でご協力いただければと思います。もちろん、調査は強制的なものではございませんから、協力する気持ちになれない方は、ご自身のお考えでご判断ください。

本調査は、これまであった様々な放射線と健康の問題に対し、また放射線事故や災害に対し、そしてあってはならないことですが、万一またレベルの大小はあっても同じような事故が世界のどこかで起きたときに対しても、福島県民の皆様の健康データを、他の人々の命と健康を守るための貴重な参考データとして活用できればと考えています。そのような意義もご理解いただき、ご協力いただければと思います。例えば、チェルノブイリの原発事故の経験とデータから、放射性ヨウ素による内部被ばくで小児甲状腺がんの発生が確認されました。すなわち放射性ヨウ素に汚染された牧草を食べた牛の乳を子供たちが大量に飲んだことによるものだと解明されました。この知見があったからこそ、福島県をはじめとした自治体は、事故後すぐに原乳の流通をストップすることができたのです。

県民健康調査によるデータは世界の財産として、福島で管理され、日本や世界の人の健康を守るために情報発信され役立てられます。

今回の福島第一原発事故による放射線の健康影響はあるのでしょうか?

これまで基本調査にご協力いただいた皆様の外部被ばく線量推計などから、今回の原発事故による放射線の健康影響は、世界の多くの研究者の知見に基づき、きわめて少ないと考えられます。

きわめて少ないという意味を正確に言えば、自然界に元来存在する放射線による被ばくに追加された被ばくが少なくとも100ミリシーベルト以下であれば、これまでの疫学調査などでは発がんやがん死の確率が高くなるようなことは確認されていません。これは、食事、喫煙、飲酒、運動不足、大気汚染、職場環境、ウイルス、細菌、個人の体質、習慣、及び基礎疾患(糖尿病、脂肪肝炎、高度肥満等)などの様々な他の発がん要因による影響の方が大きく、低線量被ばくのリスクは、あるかないか分からないくらいに低い、ということです。今回の原発事故は極めて重大な事故でしたので、その健康リスクは念には念を入れて予断をもたず健康管理のための調査を行うという対応をしています。この調査は単に放射線の健康影響を調べるというだけでなく、県民の皆様の健康を増進するための基盤づくりにも役立っていくものと考えます。

外部被ばく線量の推計は、どのようにして行っているのですか?

ご提出いただいた問診票の行動パターンの結果と線量率マップを組み合わせて、外部被ばく線量評価が行われています。線量率マップは文部科学省のモニタリングデータが用いられています(※)

  • 文部科学省が公表しているモニタリングデータが利用できない3月12日から15日のうち、3月12日から14日までの3日間は、2011年6月に原子力安全・保安院(当時)が公表した放射性物質の放出量データを用いて、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)により計算された結果を適用しました。3月15日については、3月16日のデータと同じとし、3月16日以降については、文部科学省が公表しているモニタリングデータを利用しました。

推計値は、どの程度信頼できますか?

「推計」は、確かに直接の計測と比較すれば、現在の技術では限界があります。現在であれば、個人線量計を着用いただいて外部被ばく線量を実測することも可能ですが、事故直後はそのような個々人に対する実測は不可能でした。そこで個々人の当時の行動記録と、様々な環境中の線量データをもとに放射線医学研究所が開発したプログラムを使って、当時の外部被ばく線量を割り出す方法を採用しています。これが現在考えられる最適な推計であると考えています。

内部被ばくについても推計してください。

現在の内部被ばく線量については、県がホールボディカウンターによる内部被ばく検査を行っていますので、詳細は県のホームページをご覧ください。

外部被ばく線量に比べて、過去の内部被ばく線量を推計することは、難しいのですが、基本調査問診票で書いていただいた行動記録を基に震災直後の内部被ばく線量を推計できるかどうかを検討する研究も始まっております。

基本調査問診票について

基本調査問診票の書き方がよく分かりません。

当ホームページに基本調査問診票の書き方の記載例を掲載しております。

基本調査問診票を紛失してしまいましたが、どうすればいいですか?

当ホームページにて、問診票の再交付を受け付けています。

もしくは、ページ下部のコールセンターまでお問い合わせください。

震災時、子どもたちは同じ行動をしていましたが、同じ内容を書いてそれぞれ回答する必要がありますか?

一定期間の行動が同じであれば問診票の個人情報(お名前、年齢等)は個別に記入いただき、行動記録は「代表者(=氏名を記入ください)と同じ」という記入で問題ありません。行動が異なる期間の部分のみ、各個人ごとにご記入ください。

これから基本調査問診票を提出しようと思っています。返信用封筒の差出有効期限が過ぎていますが、投函しても大丈夫ですか?

返信用封筒の期限が切れていても投函いただければ、放射線医学県民健康管理センターに届きます。その場合でも郵送料を皆様にご負担いただくことはございません。

外部被ばく線量の推計結果について

外部被ばく線量の推計結果通知書は、いつ頃届きますか?

基本調査については、現在問診票をお送りいただいてから、4~5か月程度で結果をお戻ししております。ただし、ご記入いただいた行動記録に住所が特定できない内容があった場合、すぐに推計が行えませんので、提出いただいた皆様に直接電話などでそのご住所等を確認し、場所の特定作業を行っております。このような場合は、結果のお返しが遅くなることがありますので、ご了承願います。

届いた推計結果通知書は、どうすればいいですか?

基本調査だけでなく、「県民健康調査」の詳細調査や健診・受診の結果などをまとめて記録・保存していただくために「県民健康管理ファイル」をお配りしております。ご自身の健康状態を把握し、今後の健康管理に役立てるために、ぜひご活用ください。

推計結果通知書が届きましたが、健康に問題ない数値なのでしょうか?

基本調査による結果(平成31年3月31日現在)では、事故後4か月間の線量を推計した46万5999人(放射線業務従事経験者を除く)のうち99.8%が5ミリシーベルト未満、93.8%が2ミリシーベルト未満でした。なお、最大値は25ミリシーベルトでした。

これまでの疫学調査から、福島第一原発事故による被ばく線量は低線量であり、県民の皆様の健康に大きな影響を及ぼすものではないと考えられております。しかし、一方で低線量被ばくの健康影響については、さまざまな学説もあることから、より安心いただくために、100ミリシーベルト以上での健康影響評価を参考に、そのリスクを推測し、長期にわたり健康を見守り続けるために、この県民健康調査を実施しております。

同じ家族なのに同時に推計結果通知書が届かないのは、何か理由があるのですか?

ご記入いただいた回答は個別に解析しており、およそ4~5か月で結果を皆様に発送しております。ただし、ご記入いただいた行動記録に住所が特定できない内容があった場合、すぐに推計が行えませんので、提出いただいた皆様に直接電話などでそのご住所等を確認し、場所の特定作業を行っており、作業に時間を要することがございます。また、問診票は一人ひとりの行動を基に、推計の際には年齢に応じた係数を用いて計算しているため、同居家族であっても別々に結果が届くということがございます。

飲食物についての項目に回答しましたが、それに対する答えがないのはなぜですか?

基本調査でご記入いただいた行動記録を使って事故直後の内部被ばく線量を推計できるかどうかを検討する研究も始まっておりますが、まだその検討結果は出ておりません。その検討の中で、基本調査問診票にある食物摂取の回答を参考にすることを考えており、食物摂取が被ばく線量に影響を及ぼしているのかどうかの検討も行う予定です。

お問い合わせ

福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター

〒960-1295 福島県福島市光が丘1番地

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