生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣がその発症・進行に関与する疾患群」とされます(厚生省・公衆衛生審議会、1996年)。
福島県「県民健康調査」の一つである健康診査では、震災後から現在まで、生活習慣病が大きく増えたことがわかってきました。健康診査を受けた方々では、生活習慣病の発症に、避難に伴う生活習慣の変化とこころのストレスが大きく関わります。避難による生活習慣の変化は、不適切な食習慣(過食、間食、不規則な食事時間など)、運動不足、喫煙、飲酒などの不適切な生活習慣とともにこころのストレスを伴うことがほとんどです。こころのストレスは不眠や身体活動低下、社会活動の低下(ひとと会いたくない)など生活のリズムも不規則になり、肥満ややせ、低栄養、体力不足などにより、生活習慣病の増加につながります。
健康診査で、心理的負担やトラウマ反応と糖尿病の発症の関係を調べたところ、男女で異なる結果であることがわかりました※1。心理的負担やトラウマ反応は、女性の方が大きいのですが、心理的負担やトラウマ反応が増えたことによる糖尿病発症は男性でより大きく増えました。これらの原因として、男女で、症状申告の程度に差があること、ホルモン(視床下部-下垂体-副腎軸)の違い、心理的、社会的因子の違いなどが想定されます。
県内あるいは県外に避難され、それぞれの場所で生活を続けられている方々、あるいは、帰還された方々は、現在あるいは過去の心理的負担やトラウマ反応が生活習慣病を起こしやすくすると考えられます。生活習慣病を予防し克服するには、ストレスを軽減し健康なこころの状態を保つこと、また、望ましい生活習慣を取り戻すことが大切と思われます。

※1Psychological burden predicts new-onset diabetes in men: A longitudinal observational study in the Fukushima Health Management Survey after the Great East Japan earthquake
心理的負担は男性の糖尿病新規発症を予測する:東日本大震災後の福島県「県民健康調査」における長期観察研究
2026年3月31日
島袋 充生
福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター 健康診査・健康増進室 室長
糖尿病内分泌代謝内科学講座 主任教授
ふくしま国際医療科学センター 健康増進センター長
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〒960-1295 福島県福島市光が丘1番地
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