検査の目的と対象者

検査の目的

平成23(2011)年に発生した東日本大震災では、福島県の太平洋沿岸に立地していた東京電力株式会社福島第一原子力発電所において水素爆発と原子炉のメルトスルー(溶融貫通)を引き起こしました。その結果、放射性物質が環境中に拡散し、福島県内をはじめ東日本の各地で顕著な空間線量率の上昇が見られ、放出された放射性物質の影響による放射線被ばくと健康被害について憂慮されました。

健康被害が心配された理由のひとつとして、昭和61(1986)年に発生したチョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所事故の後、内部被ばくの影響による小児の甲状腺がんが報告されたことがあります。チョルノービリでは、放出された放射性ヨウ素を含む食品を摂取したことで、特に事故時小児であった住民において放射性ヨウ素の内部被ばくによる甲状腺がんが誘発されたことがわかっています。

福島県においては、チョルノービリ原発事故と比べて放出された放射性ヨウ素は約15分の1と少なく、事故直後すぐの避難や食品の規制、摂取制限により体内へ放射性ヨウ素が取り込まれるのを最小限に抑えることが出来たため、被ばくによる健康への影響は考えにくいとされていますが、子どもたちの健康を長期に見守ることを目的に甲状腺検査を実施しています。

検査の仕組み

甲状腺検査はその実施時期によって、大きく2つに分けられます。

先行検査

平成23(2011)年10月~平成25(2013)年度まで実施
甲状腺検査の1巡目に相当する検査です。
甲状腺がんの1例1例を分析しても、その原因が放射線の影響かどうかを知ることは困難です。そのため、長期の検査をとおして、甲状腺がん発症の増減から判断する必要があります。チョルノービリでは甲状腺がんの急増には4~5年の潜伏期間があったことから、福島では震災直後から検査を開始することで、その後の甲状腺がん発症との比較の対象となると考えられました。

本格検査

平成26(2014)年度から実施
甲状腺検査の2巡目以降に相当する検査です。
平成26(2014)年度以降は、本格検査として実施しています。検査対象者が20歳を超えるまでは2年ごと、それ以降は25歳、30歳等、5歳ごとの節目に検査を行っています。

対象者

震災時福島県にお住まいで、概ね18歳以下であった方(平成4(1992)年4月2日~平成24(2012)年4月1日生まれの方)
先行検査では、震災時福島県にお住まいで、概ね18歳以下(平成4(1992)年4月2日~平成23(2011)年4月1日生まれの方)の住民を対象として実施しました(母親の居住地等の要件があります)。
本格検査以降は、震災時、胎児であった方(平成23(2011)年4月2日~平成24(2012)年4月1日生まれの方)も新たに対象として加わりました。対象となる条件を満たしていても、これまで甲状腺検査のお知らせが届いたことがない場合は、コールセンターまでお問い合わせください。

お問い合わせ

福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター

〒960-1295 福島県福島市光が丘1番地

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