わが国で認知症を患う人の数は、2025年には700万人を超えると推計されています。65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症という割合です(厚生労働省2012)。
認知症は、歳を重ねると起こる病気ですが、認知症の中でも脳血管性のものは、若い頃からの高血圧がとても大きなリスクになります(図参照)。世界的にも中年期の高血圧がその発症を増加させる一方、高血圧を治療することで、脳血管性認知症をある程度予防できることが報告されています。
中年期に血圧が高かった人は、たとえ高齢期に血圧が下がっても脳血管性認知症の発症しやすさが正常血圧の人と比べ5.3倍高く、高齢になってから血圧が上昇した人(3.3倍)よりも発症しやすいのです。従って、中年期の血圧を正常に保つことが脳血管認知症の予防には大切です。
血圧と認知症との関係
認知症には、いくつかタイプがありますが、もっとも多いのは『アルツハイマー型認知症』で認知症全体の約60%を、次に多いのは脳梗塞や脳出血が原因で起こる『脳血管性認知症』で約20%を占めます。脳血管性認知症は男性に多く、その発症は高血圧と密接に関連し、中年期の高血圧をはじめとする生活習慣病の影響が大きいです。また、アルツハイマー型でも、肥満や糖尿病などが大きな危険因子であることが分かっています。高血圧の予防・治療の基本である、食塩制限、バランスのよい食生活、カロリー制限や運動による肥満の予防・是正が、認知症予防にはとても重要です。健康診断などで高血圧を指摘されたら、まずは生活習慣をみなおしましょう。
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