今では考えられないことですが、20世紀の初めまでは血圧は下げてはいけないと思われていました。これは、動脈硬化により臓器の血液の流れが悪くなったときに、その機能を維持するために、血圧を高く保たないと血流を保てないと信じられていたためです。事実、第二次世界大戦末期の米国のルーズベルト大統領は、収縮期血圧が300mmHg近くもあったのに治療されず、脳卒中で亡くなってしまいました。
50年ほど前に、降圧薬で血圧を下げた方が下げなかった人に比べ脳卒中や心筋梗塞になる人が圧倒的に少ないことが、米国の研究で明らかとなりました。その後、降圧療法が世界的に普及し、日本でも寿命が飛躍的に延びました。血圧は、高いまま放置すると心臓病や脳卒中が多く発症する一方、適切に治療すれば、それらを予防できることが分かってきたのです。そして、今日のように高い血圧は積極的に下げるようになりました。
高血圧は、ハイリスク!
140/90mmHg以上を高血圧とする基準(図1)は、血圧の値と病気の発症や死亡率との関係をもとに、世界中の学会やWHOが同じ基準で定めています。年齢や性別の影響を含め、脳卒中や心臓病を発生するリスク(相対危険度)が2倍になることを根拠に定められた基準です。
血圧が140/90mmHg未満だからといっても、安心はできません。120/80mmHg以上であれば、血圧が高いほど病気や死亡のリスクは高くなります(図2)。できるだけ120/80mmHg未満を目指しましょう。 また、高血圧を指摘されたら、放っておかずに、適切な診断と早期に治療を開始し、命に関わる重大な病気にならないように予防することが大切です。
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