塩分と水分<血圧が高くなる仕組み>

血圧を適切に保つために活躍しているのは、腎臓(じんぞう)です。腎臓は、血液の老廃物をろ過してきれいな血液にして心臓へ戻し、老廃物の他、余分な塩分(ナトリウム)や水分を尿として排出しています。体内の塩分と水分のバランスが一定になるように調整する働きです(下図)。

腎臓の働き(概略)

人の体には、血液などの体液を一定の濃度に保つ仕組みがあります。例えば、小さな梅干し10個(食塩20g相当)を食べると、濃度を一定に保つために、体液量が約2リットル増加します。この過剰に増えた水分を元に戻すために、腎臓は圧力(血圧)と時間(数日間)をかけて血液をろ過し、尿として排泄しているのです。毎日塩分を過剰に摂取していれば、それを排泄するために、常に血圧を高く保つ必要に迫られ、高血圧になってしまいます。

一方、血圧が高い状態が続くと、血液をろ過する糸球体(しきゅうたい)という組織が壊されて、腎臓のろ過機能が低下します。塩分や水分の排出が上手くいかなくなると、血液量が増えるため、これによっても血圧が上がるという悪循環が起こってしまいます。

腎臓と高血圧の悪循環

また、体液量が増えることで、たくさんの血液を押し出すために心臓への負担となり、心筋が肥大し心臓の病気の原因となります。こうした悪循環を引き起こさないためにも、普段の生活から塩分量に気を配ることが大切です。

腎臓には、塩分が不足しないように塩分を再吸収する働きもあります。血圧の変化を感知して血圧を一定に保つ手助けを行っているのです。陸上で生活するために発達した機能も、現在のような塩分過剰な生活においては、かえって仇(あだ)となってしまいます。

※2023年6月30日 一部修正

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